【社説】消費税減税 将来に責任持てない愚策(西日本新聞me)

消費税の減税は将来にわたって社会保障、財政運営への弊害が大きい。国民生活にもたらす効果も疑問視されている。 異論を押し切って強行すべきではない。見直しを求める。 高市早苗首相は2027年4月
消費税の減税は将来にわたって社会保障、財政運営への弊害が大きい。国民生活にもたらす効果も疑問視されている。 異論を押し切って強行すべきではない。見直しを求める。 高市早苗首相は2027年4月から2年間に限り、飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げると表明した。消費税率の引き下げは初めてとなる。 さらに中低所得者に税率1%分の現金を給付し、税率を「実質ゼロ」にするという。減税は所得に連動した給付制度を始める29年度までの「つなぎ」と位置付けた。 首相は2月の衆院選で、物価高対策として飲食料品の消費税率ゼロを公約し、超党派の社会保障国民会議に議論を委ねた。 そこで消費税減税の問題点がいくつも指摘されたが、首相の方針には反映されなかった。 ■確実でない財源対策 最大の問題は消費税収が減り、社会保障の財源が細ることだ。 26年度予算の社会保障費は過去最大の約39兆円で、高齢化でさらなる増加は避けられない。飲食料品の税率を1%にすると、財源に年4兆3千億円の穴があく。影響は地方税収にも及ぶ。 代わりの財源をどうやって調達するのか。首相は予算編成で歳出と歳入を見直すことで「社会保障財源に穴があくということにはならない」と説明した。 想定しているのは税外収入の活用や補助金の改革だ。過去にも取り組んだ財源確保の手段だが、十分な成果は得られていない。 確実な手段を示せないようでは「特例公債(赤字国債)には頼らない」と訴えても説得力はない。負担を将来世代に先送りする不安は拭えない。 借金財政への懸念が高まれば、円や国債が売られ、円安や長期金利の上昇を招く恐れがある。輸入物価が上がってしまっては物価高対策に逆行する。 消費税の減税は消費額が多い高所得者ほど恩恵が大きく、公平性に欠ける。減税に合わせた値上げもあるとみられ、減税しただけ物価が下がるとは限らない。 持ち帰りの弁当や総菜は税率1%になるため、税率10%の外食は売り上げの減少や顧客離れへの不安が大きい。特例で消費税納付を免除されている中小の農家は消費税分の収入が減る。 首相はこうした課題を挙げながらも、具体的な対策に言及しなかった。消費税減税が「国民の負担軽減策として最も望ましい」とは言えない。
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